ライフ・レッスン

2004年12月27日 読書
ISBN:4047913820 単行本 上野 圭一 角川書店 2001/11 ¥1,470

日曜日のNHK教育で、この本を書いた精神科医、

エリザベス・キューブラー・ロスのことやってたのを見ました。

死期の近い患者、その家族のカウンセリングをしていたそう。

いわゆるターミナルケア精神科版かしら。

彼女は、ある時点から降霊術を行う霊媒と懇意になって

のめりこんでいったために、同じく医者の夫と離婚することに

なったんだって。

なんか、すごーくわかる気がした。

何がかっていうと、彼女が霊的なものにのめりこんでしまった

わけが。

「死」の向こうに何かある、って思わないと自分が崩れそう

に思ったんじゃないのかな。

普通に生きてたらそんなに「死」に触れる機会ってないよね。

大抵の人がまず経験する「死」って、おじいちゃんかおばあちゃん。

稀に若くして親が亡くなる人がいたりするけど。

ほとんどの人は、「歳だからしょうがない」って納得できる

かたちの死しか経験しないんじゃない?

あとは職業として、「死」に立ち会わなきゃいけない人。

医者とか。

でも、それが職業だったらある程度割り切れるじゃない。

卑怯だけど、真正面からぶつからずにするっとかわすっていうか。

でも精神科医って、これから死んでいく人の気持ちを正面から

受け止めなきゃいけないんだよね。

それで、その人の気持ちを受け止めて、その人が死んでくのを

見てなきゃいけないんだよね。

ずーーーっと「死」っていうものを考えて、その現場に立ち会ってたら

絶対におかしくなると思う。

死ぬって、「死」がもつ力ってすごいと思うんだよね。

昔、友達が、陳腐な言い方だけど「不治の病」にかかって

もう後は時間の問題、ってお医者さんに宣告されたことがあったの。

彼女が入院してたのは、大きな総合病院で、

最先端(に見えた)の医療機器につなげられて、何人もの看護婦さんが

お世話をしてくれてた。

家族の人も友達もみんな彼女がよくなるのを祈らない人はいなかった

でも、すっごく無力だって感じてた。

誰が何をしても、彼女の命が消えるのを止めることはできないって

分かってた。

死んでいく人をこの世にとどめておくことは誰にもできないし

死んでしまった人を生き返らせることはできないって。

「死」と向き合うっていうのはそういう無力感とか、あらがえない

大きな力に対する恐怖感とかを正視するってことだよね。

友達の一件があった時、毎日毎日その漠然とした無力感が

頭にあって、ずーっとずーっとそれを考えてて、

はっと気がついたら、なんだか自分はのみこまれちゃうんじゃないか

って思って、すごい怖くなった。

結局、このお医者さんはどういう答えをだしたんだろう。

でもまぁ読みたいとは思わないかな。あんまり。

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